一念発起した

勝手な判断ではあったが、断薬した後は、一心不乱に職務に邁進した。アルバイトとは言っても、誰かの役に立ちたいという気持ちは誰にも負けないということもあったし、何よりも家族から白い目で見られている現実から逃れるため、一刻も早く社員として実家を出たいという気持ちもあったのだが、やはり一番大きいのは、店舗の改革をしたい、いやしなければならないという決心であった。

素人目から見ても、私の職場が限界なのは間違いなかった。人手不足、上長と部下達のコミュニケーション不足、そして店長代理の経験不足から、率先垂範し店舗を引率する者は誰もいなく、退職を常に念頭に置きながらただ「作業」をするだけであった。

恐らくは、現代社会において当然のことなのであろうが、私は当時(とは言っても2年前だが)21歳ながら、この状況を変えたい、改革したいと思い、店長代理に仕事を振ってくれと懇願した。

しかし後で確信したのだが、この店舗を貶めている最大の癌は、この店長代理のプライドなのであった。

店長は当時、兼任店長かつ地域統括本部長的な役職であったため、とても1つの店舗にかかりきれなく、確かに管理能力も問われるだろうし、店長代理も初めての経験であるのは間違いないのではあるが、やはり個人的な感情があってか、店長代理に諸悪を収束してしまうのだ。なにより、店長はその多忙な中でも、しっかり店舗に顔を出し、適切なアドバイスをしてくれていたし、個人的な悩みなども時間を作って聞いてくれて、本当に尊敬できる人だったのだから、店長代理と比較してしまったのかもしれない。今考えれば、店長代理が適う相手のわけがないのだ。

私は店長のために、職場の退職者を減らすために、店舗を守るために、代理に仕事を振ってくれとお願いした。しかし振ってくれることはなかったので、自分から仕事を見つけ、職務に邁進したのだ。